アルプス縦走にあこがれて

(旧:風と自転車と私)最近、登山が記事のメインになってきたのでブログ名変えてみました。自転車の記事もたまにあげていくと思います。

弥山〜八経ヶ岳 後編

前編はこちらです↓

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さて、二日目は八経ヶ岳経由で天川川合のバス停まで戻ります。

八経ヶ岳から下るとさっそく三叉路(弥山辻)に分かれています。そこを左にずんずん進みます。この道が思ったより険しくて、すっごい急斜面の中腹の道を進んだりします。こんな険しい道なのかな? 少しずつ不安になって来て3回ぐらい転倒してしまって、そのうち一回は左手を痛めました。

そのうち、ロープ付きのとんでもない岩場に出くわして泣きそうになりながら越えて行きます。だってこっちは15kgの荷物を担いている登山初心者です。その時になってようやく、

なんかおかしい

と気づきます。その岩場を下ったあたりで後ろから追いついた男性に道を聞くと、やはり全然違う方向をずんずん進んでいることに気づきました。弥山辻の三叉路から1時間は進んでいます。今から戻っても計2時間のロス、それ以上に体力のロスが痛いです。特に痛めた左手はペットボトルの蓋も開けられないぐらいに負傷していました。この状態でもう一回、ロープ付きのとんでもない岩場を登って降りて、すっごい急斜面の中腹の道も戻らなければならない。疲れているからか、幻覚を何度もみました。人がいる、と思って近づくと木だったり。

疲労遭難」なんて言葉を聞いたことあるのですが、その言葉を思い浮かべました。遭難していく人はこうやってだんだん体力削られて追い詰められていくんやろな、って。

でも、とにかく戻らなければならない。全然力の入らない左手をかばいながら、先ほどのすっごい岩場を、くっそーって叫びながら、登って降りて、ちょっとふらっとすれば転倒してそのまま滑落しそうな山の斜面の中腹を慎重に引き返して、生きた心地がしない。

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三叉路に戻って来て、やっと少しだけ安心しました。安心したのでやっと写メを撮る気になった。しかし2時間のロス、それ以上の体力のロスで、天川川合まで行けるのか、まだ少し不安でした。特に、水は昨日2L補給しただけで、その残りの0.7L程度しか残っていません。明らかに少ない。もう1Lもらっておくべきだった(でも夕方5時頃には小屋の扉が閉まっていて聞きづらかった)。あと、だんだん気づいたのだが、左手はただの負傷ではなく骨折かもしれない…。冷静にだんだん状況を判断できるようになって来ました。どっちにしても進むしかない。

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しかし弥山辻から天川川合に向かう2kmぐらいは2018年9月の台風の影響で倒木がひどくて、登山道がどれなのかもわからない道が続きました。同じ場所を行ったり来たり、3往復ぐらいしていると、後ろから登山者が来ます。助かった、道を聞こう、と声をかけたら「先日の金剛山で一緒した方ですか?」逆に聞かれ、それで初めてSさんだと気づきました。4月下旬の「初めてのテント泊入門」のツアーで参加した7人のうちの1人に、こんなところでばったり出会うとは!しかも、連絡先を交換できずにいたうちの1人だったのです。

Sさんは行者還トンネル西口に車を置いて日帰り登山で来ていました。このあともう少し北に向かってから狼平の方に行き行者還トンネル西口まで戻る予定なんだそうで、途中までご一緒させていただくことになりました。道は倒木で本当に分からなくなっていましたが、SさんはヤマップのGPS機能を使って、さらに、後ろから来た、この辺の山に精通してるトレラン風の二人組のお兄さんにも道案内してもらいながら(ついて行っただけですが)、倒木が多い箇所を抜けることができました。

Sさんと連絡先を交換して握手で別れた後も、少し道に迷いながらその都度修正し、水は節約しながらちびちび飲み、左手をかばいながら、栃尾辻あたりでスマホの電波がかろうじて通るところで、先行ってるMさんに、2時間ロスしてるのでもし待ってるなら待たなくていい、と伝えました。Mさんは早くに下山して12時半のバスに乗って帰りました。ほかの方は・・・、Yさんは釈迦ヶ岳のほうに行って(私が道を間違った方向です)、そこでもう一泊テント泊、岡山からの二人組男性は10時には行者還トンネル西口にて下山、私だけが下山できていない状況でした…。

鉄塔を越えて山の中にも少しは人工物があるようなところに来て、やっと、無事に帰れるかも、と思えました。

15時40分ぐらいに下山。すぐに自販機を探してコカコーラとお茶を買い求め、やっと一息つきました。この頃には左手の負傷は骨折と確信するようになりました。疲労は極限に達しており、15kgの荷物を背負ってバスと電車を乗り継いで帰る道中はかなりつらいものがありましたx_x。

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病院にかかると第五中手骨骨折と診断され、ギプスでぐるぐる巻きにされましたx_x。この状態で3週間ほど固定です。自業自得ですが、すごく不便な生活を強いられました(これ書いてる時点ではギプスはとれて、ただ、まだ重いものはまだ持たないように言われています)。

まあ・・・今回は、地図を読み誤って壮大な勘違いをしたこと、GPSナビを何も用意していなかったことでこのようなことになってしまいました・・・。ガーミンのeTrex30を持っているので山岳地図とルートを入れればこんなことにならなかったと思いますが、準備に時間がかかるのでそれは次回…と思っていたんですね。ヤマップでも良かったんですが、その必要性もよく分かっていなかったですね。そんなこんなで写真撮る余裕もなかったので、後編は文章ばかりになってしまいましたm(_ _)m。

まぁ、なんとか生還できてよかったと思います。